読書

『天使の報酬』読了

『天使の報酬』読了

「黒田さん。あなたという人は、なぜ外務省に入ったんです?警察庁に進んで
 いたなら、今ごろ我々の上司になっていたかもしれない。なあ、大垣君」
 (『天使の報酬』)

年が明けて、あっという間に半月が過ぎてしまい、1月も既に後半です。
毎日寒くて震えていますが、それより憂鬱なのがこれから始まる
花粉の季節。今年はかなり酷くなると去年から言われているので、
気分的に既に負けてしまっている感じです(>_<)

年末年始、やたらにインプットばかりしてました。
読む読む、ひたすら読む・・・。
アウトプットは全く追いつかない状態になってました。
自宅PCの調子が良くないのも要因の一つ。
ついついPC立ち上げるのが億劫になってしまって。
って、すべて言い訳ですが(^^;)
ひたすらインプットしていた時の本の感想は、追々書けたらいいなと
思っています。

さて、昨年末に刊行された真保さんの新刊『天使の報酬』です。
『アマルフィ』に続く黒田康作シリーズ第2弾。
面白かったです。久しぶりに真保さんの作品でドンドン先が
読みたいのに、読み終えてしまうのが惜しいと思いました。
この前に刊行された『ブルーゴールド』も面白かったのですが、
少し小さくまとまり過ぎてしまった感じがしていたので。

サンフランシスコで、日本人女子大生が行方不明となります。
その子の父親からの要請で、邦人保護担当の黒田康作が調査を
することになります。
調べていく内に、単なる女子大生の失踪事件ではなく、その裏に
隠された様々な秘密が浮かんでくるのです。
その後事件はサンフランシスコから日本へ舞台を移し、外務省だけでなく
警視庁、警察庁、厚生労働省を巻き込んでの駆け引き、罠などが
次々に現れてきます。

登場人物が官公庁に所属しているケースが多いため、どの人物も
ひと癖あり、霞が関で泳ぎ渡ってきた逞しさを感じさせます。
人としての個人的なあり方と、官僚という立場との板挟みになっている
人々の姿は、私が抱いている官僚に対するイメージとは少し違っていました。
もちろん、イメージ通りの人も登場しますが(笑)

この作品はフジテレビで先週から始まった連ドラ「外交官 黒田康作」の
原作だそうですが、ドラマの第1回目を観た限りでは全然別物でした。
これからドラマの方のストーリーがどう展開するのかは分かりませんが、
登場人物が、小説の登場人物と名前が同じなだけで設定がかなり違って
いましたし、話の発端も全然違いました(^^;) まあ、こんなもんでしょう。
『アマルフィ』も映画の方は「あ~あ」という感じのストーリーになって
しまっていましたので、そこから考えればなんとなく・・・。
《小説》と《ドラマ》はまったく別物、と考えた方が素直に楽しめる気がします。
あるいは、設定の違いを探して楽しむというのも面白いかもしれません。

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『サイン会はいかが?』読了



「話を書いたのはあなたでも、本は、あなたひとりのものじゃ
 ないんだから」 (『サイン会はいかが?』)

本は毎日ザクザクと読んでます。
いつもの読書会メンバーに加え、異動してきた読書家の後輩と
意気投合、自然と本の貸し借りが始まり、読む本に全く不自由
しないという本読みにとっては願ってもない状況の今日この頃です。

そんな友達本の一冊。
書店が舞台、書店員が主人公の成風堂書店事件メモシリーズです。
『取り寄せトラップ』『君と語る永遠』『バイト金森君の告白』
『サイン会はいかが?』『ヤギさんの忘れもの』の5編が収められています。
中でも『君と語る永遠』は、本屋らしいというか、本という存在がとても
素敵な形で取り上げられていて良かったです。

前作の『配達あかずきん』よりは全体的に話のつくりや運びは
良くなっていたと思います。ただ、『取り寄せトラップ』と
『サイン会はいかが?』はちょっと謎解きありき、のような違和感が
拭えなかったのが残念です。

本屋という舞台ではありますが、日常の謎をテーマにしているので
内容が重くなりすぎずに読みやすく、一気に読めてしまいました。

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ポプラ社 《百年文庫》

ポプラ社から国民読書年記念企画として、《百年文庫》が創刊されました。
http://www.poplar.co.jp/hyakunen-bunko/index.html

以前に同じポプラ社から発売になった『諸国物語』『百年小説』もすごく気になって
いたのですが、いかんせん大きいのと高いのとで二の足を踏んでしまい、
「図書館でいいかな~」なんて尻込みしたまま月日が過ぎていました。

今度の《百年文庫》は、1冊が税込788円と、新書1冊くらいのお値段。
サイズもほぼ新書と同じ。表紙はとてもシンプルで、白地に各巻のテーマと
なっている漢字が一文字、その下に三人の著者名が入っているだけです。
でも、そのカバーを外すと、画家・安井寿磨子さんのオリジナル木版画が
入っています。しかも、一冊ずつ違うそうです。
全部で100冊刊行予定だそうですが、初回は半分の50冊が一気に
出ました。

古今東西の名短編がテーマ毎に三作ずつ入っていて、作家も日本人、
外国人問わず入り乱れています。
まだ書店の店頭でちらりと見ただけですが、ものすごくワクワクしました。
全然知らない作家さんがたくさん入っていて、まだまだ読んでいない
作品の多さを痛感です。
こうなるとまた『諸国物語』や『百年小説』への想いが再燃してきたりして(^^;)
まずは1冊、どれか選んで読んでみたいと思います。

読みたい本はたくさんあるけれど、時間と自分の能力を考えるとまったく
追いつかない状況なのでした。

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『クリスマス・プレゼント』読了

『クリスマスプレゼント』読了

「それにしても、つらい体験でしたね。うるさくつきまとっていた
 モンスターから解放されて、いまはさぞほっとしているでしょう。」
グウェンはふいに奇妙な笑い声を漏らすと、カメラをまっすぐに
見据えて答えた。
「ええ、それはもう」 ― 『ひざまずく兵士』(『クリスマス・プレゼント』より)

ジェフリー・ディーヴァーの短編集です。
実はこの短編集は途中まで読んで一度投げ出したものです。
リンカーン・ライムのシリーズは大好きで、どんどん読めていたし、
この短編集にもライムのシリーズが入っていたので手に取ったのでしたが、
なぜかその時は波長が合わず、半分ほど読んだところでまったく
進まなくなり、結局本棚に押し込んでそのままになっていました。
先日何を読もうかと未読棚を物色していて発見、再読となりました。

さて、再読してみて前回なぜ途中で投げ出したのか、と不思議に
なるほど一気に最後まで読めてしまいました。
どうも二番目に収録されている『ウィークエンダー』が苦手のようで、
今回もここでちょっと躓きかけましたが、そこを過ぎたら後はもう
ノンストップ。

とにかく帯にも書いてありますが、どんでん返しの連発で、
飽きることがありません。
楽しみにしていたライム・シリーズの『クリスマス・プレゼント』も
何事もなく静かに終わるように見せて、最後に思いっきり
ひっくり返されました。
『身代わり』『この世はすべてひとつの舞台』『被包含犯罪』
『宛名のないカード』『パインクリークの未亡人』『ひざまずく兵士』など、
とにかくどれも面白いです。

『身代わり』はラストに「やられた!」という感じになります。
『この世はすべてひとつの舞台』は珍しく時代物。私の大好きな
シェイクスピアが登場する上、彼の作品が上手にミステリーに
組み込まれています。
『被包含犯罪』はこれまた大好きな法廷ものです。緻密に論理と
証拠を積み上げても勝てそうもない裁判でのどんでん返しが痛快。
『宛名のないカード』は最後にさりげなく真相が投げかけられた時、
「ああ」と思わせられます。
『パインクリークの未亡人』はラストに仕掛けられている二重三重の
どんでん返しがたまりません。
ラストに示されるどんでん返しとそこに含まれている無邪気な残酷さが
恐ろしいのは『三角関係』と『ひざまずく兵士』。

他の作品もどれも面白いので、ディーヴァー作品を読んでみたいけれど、
いきなり長編はちょっと・・・と思う方にはお薦めかも。

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『きつねのはなし』読了

『きつねのはなし』読了

  それから彼女は座敷の隅に置かれた箪笥から、漆塗りの小さな箱を
 取り出してきた。細い指先につまんで取り出したのは、果実の中で
 とぐろを巻く龍の根付けだ。
  彼女は、その美しい根付けを僕の掌に置いた。
 「あなたに差し上げます」
 「なぜ」
 僕が驚くと、彼女は「お礼です」と微笑んだ。
 「あなたがいらっしゃった夜のことを覚えていますよ」
 小さく囁いた。「この子を運んで下さったでしょう」
( 『きつねのはなし』より 「果実の中の龍」 )

今朝は何だか肌寒さで目が覚めました。
タオルケット1枚で寝たのですが、気がつけば蓑虫のようにグルグルとくるまって
丸くなっていました。お天気予報の通り、昨日の激しい雨の後ぐっと気温が
下がったようですね。
涼しくなるのはとてもありがたいのですが、あまり極端だと身体が変化について
行けない気がします。

9月に入ってからまた体調を崩しました。
ある朝起きたら、酷い眩暈と吐き気でどうにもならず、病院へ直行しました。
耳の中の平衡感覚を司るところがなんだか不具合を起こしたようなのですが、
原因は結局よく分からず、その日と翌日に点滴と注射を打ってお薬をいただき、
今は落ち着いています。メニエールではない、とのことでしたけれど。
夏の疲れがでたのかな~と思っています。

さて、森見登美彦さんの『きつねのはなし』です。
随分以前に買ってそのまま未読棚に眠っていました。少し前に本屋さんで
平積みになっているのを見かけ、買おうと思って「待てよ。前に買った
記憶が・・・」と奇跡的に思いだし、早速帰宅して棚をごそごそと探して
発見しました。

すごく好きな雰囲気の作品です。
トロリとした夜の闇がまとわりついてくるような。
最近では夜でも煌々と明るくて、忘れがちになる夜の闇に対する怖さが
蘇ってきます。
「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」という四つのお話からなる
連作で、一見別々のようなのにどこか繋がっていて、でも全く別世界の
お話のようにも思える不思議な感じがします。
すべてのお話に共通して、不思議で気味の悪い“ケモノ”が出て来ます。
少し道尾秀介さんの『鬼の跫音』に手法が似ているかもしれません。
道尾さんは日常の狂気、森見さんは非日常の闇を描いている感じですが、
私は森見さんの作品の方が好みです。

四つのお話の中では「果実の中の龍」が一番好きです。
不思議で哀しい感じが何とも言えず好きなのです。

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『鬼の跫音』読了



「私たちの心は壊れてなんかいない」  (『鬼の跫音』より「冬の鬼」)

かなり以前に購入はしていたのですが、未読棚に入ったままに
なっていたものです。
道尾秀介さんの作品は初めてです。
いろいろと作品が評判になっていることは知っていたのですが、
なんとなく読まないままでいました。
なぜこの本を買ったかは記憶が曖昧ですが、初めて読む作家さんの
作品なので、長編で躓いたら辛いと思って短編を選んだような気がします。

日常に潜む狂気をテーマにした連作短編で、すべてのお話に
象徴的に鴉が登場します。
帯にもあるように、心の中に生まれた鬼達のお話です。
現実離れしたような不思議な感じがするかと思うと、
酷く現実的で残酷な面がふいっと顔を覗かせてドキリとさせられます。

全体的にザラリとした肌触りがして、読んでいる間はなんとなく落ち着かない
気持ちにさせられます。
自分も《跫音》を聞いてしまうような気がするからかもしれません。

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『グレイヴディッガー』読了

『グレイヴ・ディッガー』読了

「夜が明けるまでに、すべてが決着する。何があろうが生き延びてやる。
 生き延びて、自分の骨髄を白血病患者に届けてやる。
 最後に笑うのは俺だ。」(『グレイヴディッガー』)

友達の「すご~く面白くて一気読みだよ」というお薦めコメントに心動かされて
借りてきました。

今までいろいろと悪さをしてきた八神は、生まれ変わるつもりで骨髄バンクに
ドナー登録していた。いよいよ骨髄提供手術の準備のため入院するという日に
立ち寄った友人の家で死体となった友人を発見、その直後から見知らぬ集団に
追われることとなる。
八神を追う集団とは何なのか、そしてまたその集団を狩る者が出現し、
更に警察もその跡を追ってくる。八神はただひたすらに追っ手の腕を
かいくぐり、骨髄提供のために病院を目指す・・・。

八神の前には次々と障害が現れ、彼はそれをギリギリのところでかわしながら
進んでいきます。殺し方などがちょっと芝居がかっていて大袈裟ですし、
すごいカーチェイスがあったりして、全体的にアメリカ映画のような感じです。
八神が追われる理由や人が殺される動機なども少々強引な感じで
リアリティが無いと言えばそうなのですが、ただ、テンポが良くどんどんと
読めますので、息抜きに愉しむにはもってこいです。

著者の高野さんは、映画にもなった『13階段』を書いた方ですが、
私は今回初めて作品を読みました。
友人によると『13階段』もとても面白かったそうなので、
それもぜひ読んでみたいと思っています。

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『再会』読了

『再会』読了

「タイムカプセルを埋めよう。そう発案したのは直人だった。直人のアイディアに
 三人は乗った。廃校となる小学校の庭にタイムカプセルを埋める。魅力的な
 計画だった。そして何よりも四人にはどうしても埋めてしまいたいものがあった。」
(『再会』)

これも友達から借りました。

23年前に4人の子供達が埋めたタイムカプセル。
タイムカプセルにとじ込めたはずの秘密。
成長した彼らはある事件をきっかけに再会し、それぞれが過ごしてきた
人生の中で抱えている秘密と、タイムカプセルの中の秘密とに
対峙することとなります。

第56回の江戸川乱歩賞の受賞作。
何度も挑戦した末の受賞だそうです。
諦めずに挑戦し続けた著者の方に敬意を表します。
語り手によって視点が変わるので、まっすぐに事件が見通せないところが
良いと思いました。それぞれが少しずつついている嘘が効果的だと思いました。
文章にも無理が無く、一気に最後まで読めました。
ただ、最後の方はちょっと駆け足になり、解決への持って行き方が
少し強引になってしまった感じはしました。

とても面白く読めたので、次回作に期待したいです。

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『つくもがみ貸します』読了

『つくもがみ貸します』読了

「出雲屋の古道具の中に、付喪神がいるのではないか。
 清次とお紅は、ある日そう結論を出した。出雲屋にある道具の幾つかは、
 確かに時々口をきくのだ。」(『利休鼠』)

大好きな「しゃばけシリーズ」の著者、畠中恵さんの作品です。

損料屋兼古道具屋の出雲屋では、今日も付喪神達が姦しくおしゃべりをしています。
出雲屋の清次とお紅(こう)は、付喪神達のおしゃべりを聞かぬ振りで耳を傾けて
います。付喪神達は噂好きでおせっかい。
出雲屋の周りで起こる道具達にまつわる不思議を清次・お紅と付喪神達が、
微妙な距離を保ちながら協力して解いていきます。
そして、付喪神達は清次とお紅の行く末にも興味津々です。
お紅が思い悩んでいる様子の「蘇芳」とは?清次の想いはお紅に届くのか?
不思議で楽しいお話です。

つくもがみ達と清次・お紅の遣り取りが楽しい作品でした。
お紅が自分でも掴みかねている気持ち。渋々ながらもお紅を助けずには
いられない清次のせつない想い。そこに不可思議な事件とが上手く絡み
合っていてとても楽しく読めました。
付喪神の存在を自然に肯定しているところは「しゃばけシリーズ」にも
共通していますが、お互いに一線を画していて直接の遣り取りはしない
というところが違っていて面白かったです。

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ホクホク

ホクホク

昨日は思わぬ収穫があってホクホクです。

本とCDは別々の人から貸していただいたのですが、どちらも思いがけず借りられる
ことになったものです。

本は貴志祐介さんの『悪の教典』です。
貴志さんの本は実は『黒い家』しか読んだことがありません。とにかく怖くて、何度か
読み返しましたが、その度に改めて怖いな~と思わせられる作品です。
人の思い込みの怖さ、話して通じない相手に対する恐怖がひしひしと伝わってきます。

『悪の教典』は気にはなっていたのですが、ものすごいボリュームなので「他にも
読む本はあるし」と横目で見て素通りしていたのでした。
そうしたら、たまたま会社の後輩と最近読んだ本の話をしていた時に話題になり、
「貸しましょうか?」の一言に飛びついてしまいました。
ありがとう。楽しませていただきます。

CDは、これもたまたま、最近気になっているシューマンの話をしていた時に後輩が
「CD持ってますよ。聴きますか?」と言ってくれたので「貸してください!」と
これにも飛びついてしまいましたcoldsweats01

CD4枚の内、3枚がシューマン、1枚がショパンです。
私はよく聴くジャンルが古楽系統に偏っているので、なかなか世界が広がりません。
こういう機会はとてもありがたいです。
アルゲリッチとケンプは全く同じ内容で《子供の情景》と《クライスレリアーナ》。
同曲異演なのですごく楽しみです。
残りの2枚はミケランジェリです。ケンプとアルゲリッチは自分でもCDを持って
いますので聴いたことがあるのですが、ミケランジェリは初めてです。
とても有名なピアニストなので名前は知っていましたが、どんな演奏でしょうか。
ミケランジェリのシューマンは謝肉祭。謝肉祭は最終曲の「フェリシテ人と闘う
『ダヴィッド同盟』の行進」が結構お気に入りです。
ショパンはマズルカ、前奏曲、バラードなど有名どころが揃った内容です。

当分退屈しないな~。優しい後輩達に恵まれた幸運に感謝です。ありがとうconfident


先日、CDで以前からどうしても欲しいと思っていたものをついに買いました。
かなり大きな買い物でしたが、念願かなってなのでとても嬉しいです。
取り寄せ中なので、今は届くのをワクワクしながら待っているところですlovely

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