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『きつねのはなし』読了

『きつねのはなし』読了

  それから彼女は座敷の隅に置かれた箪笥から、漆塗りの小さな箱を
 取り出してきた。細い指先につまんで取り出したのは、果実の中で
 とぐろを巻く龍の根付けだ。
  彼女は、その美しい根付けを僕の掌に置いた。
 「あなたに差し上げます」
 「なぜ」
 僕が驚くと、彼女は「お礼です」と微笑んだ。
 「あなたがいらっしゃった夜のことを覚えていますよ」
 小さく囁いた。「この子を運んで下さったでしょう」
( 『きつねのはなし』より 「果実の中の龍」 )

今朝は何だか肌寒さで目が覚めました。
タオルケット1枚で寝たのですが、気がつけば蓑虫のようにグルグルとくるまって
丸くなっていました。お天気予報の通り、昨日の激しい雨の後ぐっと気温が
下がったようですね。
涼しくなるのはとてもありがたいのですが、あまり極端だと身体が変化について
行けない気がします。

9月に入ってからまた体調を崩しました。
ある朝起きたら、酷い眩暈と吐き気でどうにもならず、病院へ直行しました。
耳の中の平衡感覚を司るところがなんだか不具合を起こしたようなのですが、
原因は結局よく分からず、その日と翌日に点滴と注射を打ってお薬をいただき、
今は落ち着いています。メニエールではない、とのことでしたけれど。
夏の疲れがでたのかな~と思っています。

さて、森見登美彦さんの『きつねのはなし』です。
随分以前に買ってそのまま未読棚に眠っていました。少し前に本屋さんで
平積みになっているのを見かけ、買おうと思って「待てよ。前に買った
記憶が・・・」と奇跡的に思いだし、早速帰宅して棚をごそごそと探して
発見しました。

すごく好きな雰囲気の作品です。
トロリとした夜の闇がまとわりついてくるような。
最近では夜でも煌々と明るくて、忘れがちになる夜の闇に対する怖さが
蘇ってきます。
「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」という四つのお話からなる
連作で、一見別々のようなのにどこか繋がっていて、でも全く別世界の
お話のようにも思える不思議な感じがします。
すべてのお話に共通して、不思議で気味の悪い“ケモノ”が出て来ます。
少し道尾秀介さんの『鬼の跫音』に手法が似ているかもしれません。
道尾さんは日常の狂気、森見さんは非日常の闇を描いている感じですが、
私は森見さんの作品の方が好みです。

四つのお話の中では「果実の中の龍」が一番好きです。
不思議で哀しい感じが何とも言えず好きなのです。

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