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2010年9月

『クリスマス・プレゼント』読了

『クリスマスプレゼント』読了

「それにしても、つらい体験でしたね。うるさくつきまとっていた
 モンスターから解放されて、いまはさぞほっとしているでしょう。」
グウェンはふいに奇妙な笑い声を漏らすと、カメラをまっすぐに
見据えて答えた。
「ええ、それはもう」 ― 『ひざまずく兵士』(『クリスマス・プレゼント』より)

ジェフリー・ディーヴァーの短編集です。
実はこの短編集は途中まで読んで一度投げ出したものです。
リンカーン・ライムのシリーズは大好きで、どんどん読めていたし、
この短編集にもライムのシリーズが入っていたので手に取ったのでしたが、
なぜかその時は波長が合わず、半分ほど読んだところでまったく
進まなくなり、結局本棚に押し込んでそのままになっていました。
先日何を読もうかと未読棚を物色していて発見、再読となりました。

さて、再読してみて前回なぜ途中で投げ出したのか、と不思議に
なるほど一気に最後まで読めてしまいました。
どうも二番目に収録されている『ウィークエンダー』が苦手のようで、
今回もここでちょっと躓きかけましたが、そこを過ぎたら後はもう
ノンストップ。

とにかく帯にも書いてありますが、どんでん返しの連発で、
飽きることがありません。
楽しみにしていたライム・シリーズの『クリスマス・プレゼント』も
何事もなく静かに終わるように見せて、最後に思いっきり
ひっくり返されました。
『身代わり』『この世はすべてひとつの舞台』『被包含犯罪』
『宛名のないカード』『パインクリークの未亡人』『ひざまずく兵士』など、
とにかくどれも面白いです。

『身代わり』はラストに「やられた!」という感じになります。
『この世はすべてひとつの舞台』は珍しく時代物。私の大好きな
シェイクスピアが登場する上、彼の作品が上手にミステリーに
組み込まれています。
『被包含犯罪』はこれまた大好きな法廷ものです。緻密に論理と
証拠を積み上げても勝てそうもない裁判でのどんでん返しが痛快。
『宛名のないカード』は最後にさりげなく真相が投げかけられた時、
「ああ」と思わせられます。
『パインクリークの未亡人』はラストに仕掛けられている二重三重の
どんでん返しがたまりません。
ラストに示されるどんでん返しとそこに含まれている無邪気な残酷さが
恐ろしいのは『三角関係』と『ひざまずく兵士』。

他の作品もどれも面白いので、ディーヴァー作品を読んでみたいけれど、
いきなり長編はちょっと・・・と思う方にはお薦めかも。

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BCJのコンサートに行ってきました。

大好きなバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のコンサートに行ってきました。
バッハの教会カンタータシリーズVol.58です。
楽しかった~。前回(7月)の方が華やかな感じの曲が多かったけれど、
今回は受難をテーマにした曲が中心。静かな中に時折混じる激しさや
明るさがきらめいて、美しかったです。

前回はロビン・ブレイズさんの声に酔いしれたのですが、今回は
ペーター・コーイさん。彼の力強く暖かな声に包まれるようでうっとり。
ソプラノのレイチェル・ニコルズさんの声は、張りがあってホールに
響き渡る迫力がありました。好きな声ですね。
テノールはゲルト・テュルクさん。オーボエとのアリアには吸い込まれました。

今回も至福の時でした。

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『きつねのはなし』読了

『きつねのはなし』読了

  それから彼女は座敷の隅に置かれた箪笥から、漆塗りの小さな箱を
 取り出してきた。細い指先につまんで取り出したのは、果実の中で
 とぐろを巻く龍の根付けだ。
  彼女は、その美しい根付けを僕の掌に置いた。
 「あなたに差し上げます」
 「なぜ」
 僕が驚くと、彼女は「お礼です」と微笑んだ。
 「あなたがいらっしゃった夜のことを覚えていますよ」
 小さく囁いた。「この子を運んで下さったでしょう」
( 『きつねのはなし』より 「果実の中の龍」 )

今朝は何だか肌寒さで目が覚めました。
タオルケット1枚で寝たのですが、気がつけば蓑虫のようにグルグルとくるまって
丸くなっていました。お天気予報の通り、昨日の激しい雨の後ぐっと気温が
下がったようですね。
涼しくなるのはとてもありがたいのですが、あまり極端だと身体が変化について
行けない気がします。

9月に入ってからまた体調を崩しました。
ある朝起きたら、酷い眩暈と吐き気でどうにもならず、病院へ直行しました。
耳の中の平衡感覚を司るところがなんだか不具合を起こしたようなのですが、
原因は結局よく分からず、その日と翌日に点滴と注射を打ってお薬をいただき、
今は落ち着いています。メニエールではない、とのことでしたけれど。
夏の疲れがでたのかな~と思っています。

さて、森見登美彦さんの『きつねのはなし』です。
随分以前に買ってそのまま未読棚に眠っていました。少し前に本屋さんで
平積みになっているのを見かけ、買おうと思って「待てよ。前に買った
記憶が・・・」と奇跡的に思いだし、早速帰宅して棚をごそごそと探して
発見しました。

すごく好きな雰囲気の作品です。
トロリとした夜の闇がまとわりついてくるような。
最近では夜でも煌々と明るくて、忘れがちになる夜の闇に対する怖さが
蘇ってきます。
「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」という四つのお話からなる
連作で、一見別々のようなのにどこか繋がっていて、でも全く別世界の
お話のようにも思える不思議な感じがします。
すべてのお話に共通して、不思議で気味の悪い“ケモノ”が出て来ます。
少し道尾秀介さんの『鬼の跫音』に手法が似ているかもしれません。
道尾さんは日常の狂気、森見さんは非日常の闇を描いている感じですが、
私は森見さんの作品の方が好みです。

四つのお話の中では「果実の中の龍」が一番好きです。
不思議で哀しい感じが何とも言えず好きなのです。

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『鬼の跫音』読了



「私たちの心は壊れてなんかいない」  (『鬼の跫音』より「冬の鬼」)

かなり以前に購入はしていたのですが、未読棚に入ったままに
なっていたものです。
道尾秀介さんの作品は初めてです。
いろいろと作品が評判になっていることは知っていたのですが、
なんとなく読まないままでいました。
なぜこの本を買ったかは記憶が曖昧ですが、初めて読む作家さんの
作品なので、長編で躓いたら辛いと思って短編を選んだような気がします。

日常に潜む狂気をテーマにした連作短編で、すべてのお話に
象徴的に鴉が登場します。
帯にもあるように、心の中に生まれた鬼達のお話です。
現実離れしたような不思議な感じがするかと思うと、
酷く現実的で残酷な面がふいっと顔を覗かせてドキリとさせられます。

全体的にザラリとした肌触りがして、読んでいる間はなんとなく落ち着かない
気持ちにさせられます。
自分も《跫音》を聞いてしまうような気がするからかもしれません。

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悩ましい季節になってきました

そろそろ早いところでは来年の手帳が店頭に並び始めています。
毎年、これから年末にかけては、私にとって悩ましい時期なのです。

来年の手帳をどうするか・・・。
自分が必要とする要素をいろいろ書き出して、できるだけそれを
満たしてくれるものを探しているのだから、毎年同じ手帳で良いじゃないと
思うのですが、やっぱりこの時期になると心揺れてしまうのです。

仕事柄バーチカルで一週間が見通せるという要素が外せないので
基準はそこになるのですが、これだと書き込めるスペースにどうしても
制限が出てしまい、現在は手帳の他に雑記帳を持ち歩いています。
これを一冊にできないかな~と思案しているところです。
一つ候補があるのですが、使い切れるかどうかという気持ちも
まだまだ渦巻いていて決心がついていません。

悩ましい~。でも、、文具好きとしては楽しくて仕方ないのも
否定できません(^^;)

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