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『殺人症候群』読了

21hkb9fz10l_sl160_aa115_1 「運命は、そんな渉の楽観に鉄槌を下した。これまでの負債をきちんと取り立てた。何もかも必然の結果であり、収支はきちんと合った。他人の命を奪う者に、静かな死など決してやってこない。」(『殺人症候群』)

症候群シリーズ第3作です。700ページに渡る大作でしたが、一気に読み終えました。これを読んで、前2作品はあくまで伏線に過ぎなかったのだということがわかりました。非常に大きく重いものをテーマとして書かれています。押さえがたいまでの憎しみと悲しみ、表現しようの無い絶望、命の期限に追い詰められる焦燥感、この作品を読んでいるとどんどん息苦しくなってきます。自分が経験したことのない感情を次々と送り込まれ、身動きが取れなくなる気がするのです。

身近な人が犯罪の災厄にみまわれた際、加害者が、未成年であるからとか、責任能力が無かったから等の理由で社会的制裁を受けることなく、反省もせず、大手を振って人生を謳歌していたとしたら・・・。自分が命より大切に思っている人が生き延びるためには臓器移植しか手段が無いと宣告され、余命幾ばくもない状況になったとしたら・・・。人の命を奪う、ということに対する究極の問いがこの作品の中には込められています。もちろん、どのような状況であろうと人の命を奪うのは罪です。法律で罪と定められていますし、宗教では自分の命を絶つことさえも禁じています。しかし、この作品の中に出てくるような状況に自分が追い込まれた時、果たして私はどのような選択をするのか、理性(法)と感情とのバランスを果たして保つことができるのか、読み終えて自問してみても答えは出ません。

「罪を憎んで人を憎まず」   自分が被害者の立場になった時、果たしてこの言葉を思い浮かべることができるでしょうか。

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